ここが変わった!千葉県公立高校入試

2021年から、千葉県の公立高校入試が大きく変わりました


2021年から千葉県の公立高校入試が変更されています。

 

・2020年までは、2回受験ができました。

・2021年からは1回だけの受験に変更されました。

・中学校での指導を厚くするための制度変更です。

 

詳しい内容を以下にまとめました。



 千葉県では、2020年入試までの10年間、前後期制の入試が行われていました。

簡単にいいますと、今までは「前期」と「後期」の2回、受験のチャンスがあった、ということになります。

 

 受験のチャンスが2回ある、というのは、一見すると、とてもいい制度のように思えます。

 

 しかし、2回の入試を行うことで中学校、高校への負担が大きくなり、また、前期合格の生徒と後期合格の生徒がクラスに混在したまま授業が進行してしまうという状況も、決していいものとは言えないでしょう。

 

 2回も入試があることで、必然的に前期入試が行われる時期も早くなり、3年生の早い段階でカリキュラムをすべて行わなければならないという負担もあります。

 さらに、前期受験で人気校に倍率が集中し、1回の入試であれば受かるはずの生徒が残念ながら不合格になってしまう、というケースもありました。

 

 千葉県教育委員会としては、入試を一本化することにより、中学校での授業時間を増やし、より充実した中学校生活を送れるようにする、と発表しています。

 

さて、では新しい入試制度ではどんなところが変わったのでしょうか。 


1 入試の一本化

2021年から入試の前後期制が廃止され一本化されました。

この入試は「一般入学者選抜」または「本試験」と呼ばれます。

 

入試は2日間で行われます。

・1日目…国語、数学、英語(3科目)

・2日目…理科、社会(2科目)

 そして各高校が定める検査が行われます。

 

各高校が定める検査では、

【面接】

【集団討論】

【自己表現】

【作文・小論文】

【適性検査】

【学校独自問題】

【その他の検査】

から1つ以上が実施されます。

 

こちらが発表されている入試のタイムスケジュールです。

 ※2022年入試は、2021年と同様に、新型コロナウィルス感染拡大防止の為、当初の予定から受付・点呼の時間が10分から20分に延長され、科目間の休憩時間も20分から30分に延長されています。

今までの前期入試では、1日目に5科目の学力試験、2日目に各高校の定める検査でした。

また、今までの入試の試験時間は、前期が各50分、後期は各40分でした。

ですから受験生の負担は減るように思えます。

 

しかし新入試には、重要な変更点があります。他の科目は50分なのに対し英語の試験時間のみ60分です

 

昨今、小学生の英語教育や、大学入試での英語の試験方法が話題になっています。

高校入試にとっても、英語の教育が重要になってくるでしょう。 

 


2 追試験

 昨今話題になっているコロナウイルスや、受験の時期に流行するインフルエンザ。

こうした病気になってしまったり、怪我等で本試験が受けられなかった場合には、追試験が受けられます。

 

 追試験は本試験と合格発表の間に、1日で行われます。

 

検査は志望する高校で行われ、試験内容は「本検査に準じて」実施となっています。

 

 「各高校が定める検査」の実施は、各校高校ごとに定められることになっています。

合格発表は、本試験と追試験をあわせて行われるとのこと。

 

 最も、全く同じ難易度の問題を作ることは出来ませんし、1日に試験が集中することも大変です。

できるだけ本試験に万全の体調で臨めるようにしたいものです。

 


3 志願変更

新しい入試でも、志願変更が可能です。

「志願変更」とは、願書を出して各高校の志願倍率を確認した後で、志望校を変更することです。

 「安全圏で志願していたけど、倍率を見てチャレンジ校に志望を引き上げる」ということや、「どうしても公立がいいから、倍率を見て安全圏に下げる」といったことが可能になります。もちろん本当に行きたいところだったら、志望校を変更する必要はありません。

 

なお、今までの前後期入試制では、後期入試に志願変更を行うことができました。 

 

入試一本化により「入試は安全圏」と志望校を引き下げる動きが出てくることが予想されます。前後期入試制では、2回のチャンスがあることで「前期入試でチャレンジ校、後期入試で安全圏」という傾向もありましたが、今度このような受験はできなくなります。

 

いずれにせよ、志望校に対して余裕を持った学力を身につけることが重要と言えるでしょう。

 


4 選抜方法について

入試ではどういった基準で合格が決まるのでしょうか。

合格を決める3つの要素は、

 

①「調査書の評定の全学年の合計値

  およびその他の記載事項」

    +

②「学力試験の成績

    +

③「各高校で実施された検査の結果」です。

 

これらを各高校が総合的に判定して入学者の選抜を行います。

ひとつずつ見ていきましょう。

  

要素①

「調査書の評定の全学年の合計値およびその他の記載事項」

 「調査書の評定の全学年の合計値」

これは、いわゆる「通知表」の成績のことです。

通知表の評定は1~5で、技能科目も含めて9科目あります。これが3学年分。

 

すなわち

中学1年:評定5×9科目×45点

中学2年:評定5×9科目×45点

中学3年:評定5×9科目×45点

 

45点満点×3学年=135点満点です。

 

 

ところで、千葉県の入試に詳しい方は、

「算式1 X+a-m」

という式をご存知の方がいらっしゃるかもしれません。

これは、中学校ごとの内申点のばらつきを是正する式です。

Xは自身の評定、

aは千葉県の評定平均95、

mは各中学校の評定平均です。

 

各中学校、あるいは同じ中学でも、ご兄弟がいらっしゃる場合は、学年ごとでも感じられたことがあるかもしれませんが、通知表の評定は中学ごと、学年ごと、先生ごとにまちまちです。それが、入試の際に不利はたらいては困りますよね。算式1は、こうした差を是正するための式で、自分の調査書の結果に、千葉県の評定平均と自身の中学の評定差を反映させるものです。

 

例えば、千葉県の評定平均は95。

ある生徒の通っている中学の評定平均が93だったとします。

千葉県内では、厳しく成績が付けられているほうの中学校ということになります。

 

この場合、千葉県平均より2点分評定平均が低い中学の生徒は、その差の2点が加算されて入試に反映されます。

 

新しい入試制度では、この算式1は廃止です。

 

 

「その他の記載事項」

部活動の成績、委員会活動、生徒会活動、ボランティア活動、さらには「行動の記録」(自主・自立、や責任感、協力といった欄に○がついているところ)までも考慮されます。

 

 これが曲者でして、各高校ごとに、点数化の方法や、評価基準がバラバラです。まったく考慮されないこともあります。それでも、点数化されるようになってからは、だいぶ透明度が上がったのですが…。

 

 「その他の記載事項」の点数化に関しては、高校により大きな差があります。

志望校の評価基準は、各高校のホームページ等で公表されます。発表され次第、しっかりと確認しておきましょう。

 

 

★審議対象

「審議対象」とは、たとえ合格点に達していたとしても、「この生徒は入学させるか否か」という審議の対象になるということです。もっとも、審議対象になってしまう生徒が合格点に達するのは難しいと思いますし、「審議対象」となる場合には、合格自体が厳しい、と捉えても差し支えないでしょう。

 

こちらも各高校ごとに定められますが、一般に、中学3年間の成績で「1」がついた場合や、行動の記録に1つも○がついていない場合、また、欠席日数が著しく多い場合等が審議対象になっていることが多いようです。

 

 

 

調査書の扱いは、前述のように、学校ごとに異なりますが、このようなタイプがあります。

 

【調査書重視型】

 調査書の結果を重視する高校があります。

 

 調査書の結果を2倍にして計算したり、あるいは皆勤、部活動や特別活動での加算が大きいこともあります。

また、行動の記録の○1つに付き○点加算、という場合も。

 

【学力重視型】

 行動の記録の加点等を一切行わず、当日の学力検査点を重視する高校もあります。

どちらかといえば、上位校に多い傾向です。

135点満点の通知表の結果を0.5倍する高校もあります。

 

 

 

要素② 「学力試験の成績」

 1日目と2日目、5科目学力試験の成績は、全科目100点満点の合計500点です。

しかし、専門科に関しては注意が必要です、理数科は理数の点数を1.5倍にして算出したり、英語科や国際科では英語の成績を1.5倍にしたりする「傾斜配点」が行われることもあります。

こちらも、学力試験で0点や5点以下の科目がある、といった状況ですと、審議対象になることがあります。

 

 

 

要素③ 「各高校で実施された検査の結果」

 本検査2日めに、【面接、集団討論、自己表現、作文、小論文、適性検査、学校独自問題、その他の検査】から1つ以上が実施され、評価の対象となります。

 こちらの試験内容や、点数化のルールも、高校により大きく異なっていますので、事前にしっかり把握しておく必要があります。

 

 注意しなければならないのは、場合によっては、この点数で学力試験の結果がひっくり返ってしまうこともあるということです。

 この項目で200点、それ以上の加算が出来る高校もあれば、満点でも30点にしかならないところもあります。

  ※ちなみに千葉高校はH31前期入試では作文の加点は5点だそうです…。

 

どんな算出方法にせよ、公平で透明性のある選抜方法であってほしいと心から思います。

 

 


5 2023年の入試日程

最新の入試日程は以下の通りです。

願書提出    令和5年 2月8日(水), 2月9日(木), 2月10日(金)

 

志願変更    令和5年 2月15日(水), 2月16日(木)

 

学力試験    令和5年  2月21日(火), 2月22日(水)

 

追検査受付期間 令和5年 2月24日(金), 2月27日(月)

 

追検査     令和5年 3月1日(水)

 

合格発表    令和5年 3月3日(金)

 


6 新しい入試制度に対応するために

 今までの入試でも言えることで、受験の対策には大きな違いは殆どありません。

 

 まずは、中学1年生から通知表の成績を意識して上げる、ということです。

 そのために必要なことは、「定期テストの点数を上げる」ことです。

 NPSでは、中学1年生から、英数だけでなく理社国の指導も行っており、おすすめしています。公立高校入試は5科目勝負!特に定期テスト前は、各校舎とも、テスト特訓等を行って、生徒さんを全面的にバックアップしています。テストの点数は上がっても通知表がなかなか上がらない…という生徒さん。提出物や授業態度は大丈夫ですか?

家庭科、音楽、技術、体育も甘く見ないこと!

 

 そしてテストが終わったら終わり、にしないことです。出来ないところを早めに潰しておきましょう。

テスト後はNPSで成績を回収。講習時などではしっかり単元の復習を行います。テスト勉強=入試対策なのです。

 

千葉県教育委員会が発表した、「学力検査問題の出題方針と特徴」には、こんな記述がありました。

 「正確な理解度」をみる問題を設定した

 「思考力、判断力、表現力」を総合的にみることが出来る問題を設定した

 上記2点を柱に「自ら学び、思考し、表現する力」をみる問題を充実させた

 

 とのこと。

 

「理科と社会は暗記科目ですよね」とか、

「英語は単語さえ覚えれば何とかなる」とか、

「数学は計算ができれば大丈夫じゃないか」と しばしば言われますし、聞かれます。

 

これから必要とされる学力は、そうではありません。全然足りないのです。

 

「なんでそうするのか」 「なぜそうなるのか」 「どうしてそう考えたのか」

しっかり考えて、理解する、表現する。

 

どれも、入試直前からでは身につきません。

早い段階から、入試に向けての勉強、対策をしていきましょう!