私が師事する人物の一人に稲盛和夫氏がいます。数年前より稲盛氏の教えを学ぶ盛和塾にも入塾し薫陶を受けていますが、教えの一つに『三毒をいかに断ち切るか』があります。『三毒』とは仏教用語で「欲望、愚痴、怒り」の三つをさすのですが、私は特に「愚痴」に注目しています。妬み・そねみ・怨みに起因する不平不満がここに該当します。自分も若いころは修業不足だったため、取るに足らないことに不平不満を抱くことがしばしばでした。しかし年を取って悟ったことの一つとして不平不満は自分自身をも疲弊し、その成長を妨げ、最終的には未熟な人間としてしまうということです。また不平不満は何らかの形で自分に還ってくることも悟りました。天に唾を吐けば自分に降りかかるのように、決して良いことはないのです。人は自分に甘く、他人には厳しい面があります。他人の悪いところを見て不平不満を抱くのではなく、反面教師とすればよいと思いませんか?また自分の行いをよく振り返り、省みると「自分だって…」となり、不平不満の心は小さくなりますよ。かくいう私も頭で悟ってはいても、実践に関しては修業の真っ最中であまり大きなことは言えませんが……。