子供の頃は親父や友達とよく将棋をしました。子供の頃は今と違って遊び道具が少ないため、トランプや花札とともに手軽なゲーム感覚で遊んでいました。ただ勝負事には違いないので負けると悔しいため、図書館から本を借りていろいろな戦法を研究したものです。自分の戦法はもっぱら『棒銀』ですが、昨日竜王戦で敗れ63年の現役生活にピリオドを打つことになった加藤一二三九段の得意手でもあります。14歳の藤井聡太プロの連勝記録で話題となっている将棋界ですが、同じく14歳でプロとなり『神武以来の天才』と呼ばれた加藤氏のような人は二度と輩出されないことでしょう。この知らせを聞いたとき、16年も前に亡くなった往年の演歌歌手村田英雄の大ヒット曲、『王将』の歌い出しである「吹けば飛ぶような将棋の駒に賭けた命と笑わば笑え」を思い出しました。引退は決まりましたが「私は命ある限り将棋の棋士だ」という加藤氏の矜持は、今後の将棋界の発展にまだまだ寄与していくであろうと心より信じています。