動物の命

近頃、野良犬などお見かけしない。捨て犬だってもだ。

 

自分が十代まで住んでいた田舎の小さな町では、小学校の校庭の片隅に段ボール箱に入れて捨てられている子犬がときどきいた。子供達だけで、大人に隠れてエサをあげたりしてしばらく面倒を見てあげることがあった。あの犬達は最後どうなったんだろう。はっきりとした記憶がない。

 

日本では、現在、公的施設である動物愛護センターやボランティア団体の活動が充実してきて、殺処分される犬・猫などの動物は減ってきているという。しかし、世界では動物が様々なかたちで虐げられているところがたくさんある。

 

ゴールデンウィーク中に、人間に見捨てられた、あるいは生まれたときから野良だった動物たちの保護活動をしている人たちの動画をYouTubeでたくさん見た。アメリカ、タイ、インド、ギリシア、南アフリカ、フィリピンなどのものだった。

 

アメリカは犬を飼う家庭がとても多いようで、そのぶん年老いたり、病気になったりして捨てられてしまう犬も多いようだ。中には単に捨てられるだけでなく、最初から命を奪うことを目的に人里はなれたところで木に縛りつけらたままとか、袋の中に入れられたまま捨てられる犬たちもいる。そんな様子を動画で見ると、特に犬たちの悲しげな目を見ると居ても立ってもいられないような、なんともやるせない気持ちになる。

 

しかし、他方でそんな虐げられた、見捨てられた犬たちを救おうとするボランティア活動をしている人たちも多く、私は主に Hope For Paws というボランティア活動をしている人たちの救出動画を多く見た。救出した後、獣医の下でケアしてもらってから、フォスターと呼ばれる一時的な里親の下で人と暮らすことに慣れさせ、その間に永久にその犬を受け入れてくれる家庭を探してあげているのだ。

 

フォスターや最終的な受け入れ先の家庭で、元気に走り回っている犬たちを見ると、まだ人間も捨てたものではないなという気持ちに慣れる。

 

一般に道徳と言うと、他人との関連の中での各人の振る舞い方が議論になるわけだが、地球上の人間以外の命のことも考慮に入れた道徳というものがあってもいいのではないかと思った次第。

 

やまだセンセ