私がこの仕事をしたばかりの頃、高校生の「確率」という分野の質問を受けました。色々と説明するのですがいまいちピンとこない様子…。いろいろと話しを聞いたら、そもそも「トランプのカードの種類と枚数」が分かっていなかったことが発覚。それなのに「絵札が出る確率」とか「ダイヤの1が出る確率」とか言われてもそれは分からないですよね…。自分が当たり前だと思っていたことが当たり前じゃない、と実感した体験の一つでした。
それ以降も何人も「トランプのカードの模様がわからない」「数字がいくつまであるか知らない」「サイコロをふったことがない」という子を見まして、環境によってはトランプもサイコロも触れる機会が全く無かった子もたくさんいると気付き、それ以降はこうした問題の解説では、「そもそもどういうものか」説明するところからはじめるようにしました。場合によっては実際にトランプそのものを持っていって見せたり、サイコロをふってもらったりしています。
現代では携帯ゲーム機やスマホゲームなど、遊べるものが沢山ありますし、そもそも家にトランプなどが無い、という家庭も多いでしょう。将棋や囲碁も、親がやっているかどうかという側面も大きいでしょうし、スキーやスノーボード、スケートといったスポーツでも同じかなと思います。
多種多様な環境で育つ子どもたち。もちろん私達もですけれど。みんな同じじゃなく、むしろ違うことが「当たり前」と受け止めて接するように心がけます。