先日、千葉県教育委員会から前回の学力検査の結果が発表されました。
令和3年度入試、前期の5科目平均点は286.2点でした。
令和2年度の前期5科目平均点は261.6点ですので、全体として約25点も平均点が上がったことになります。
入試制度が変更になって初めての試験。しかも、コロナ禍の中、今までにない対応が取られた入試になりました。
具体的には、願書が郵送可能になったり、追試が多く設けられたりしました。
しかし、何と言っても大きな変化は試験範囲の減少です。数学、社会、理科において出題範囲の縮小が行われました。
それぞれの科目において、3年生の最後に習う分野が出題されなくなったのです。
東京都の試験では、数学の三平方の定理も出題されない、中3範囲の漢字の出題がない、英語の関係代名詞以降が出題されない、など、千葉県よりも大きな縮小が行われています。
千葉県では、国語と英語の試験範囲は特に縮小はされませんでしたが、英語に関しては解答時間が10分伸びて60分になり、しかし問題構成はさほど変化が無い、という状況でした。
結論から言えば、難易度はかなり下がったと言えます。
続いて、5科目それぞれの平均点の変化を見てみましょう。
ほとんどの科目で、昨年より平均点が高くなっています。
特に、赤字で示した英語の61.7点、数学の59.3点はここ最近で最も高い平均点になっています。
英語に関しては、前述のとおり、範囲自体は縮小されていませんが、コロナでの休校等に配慮してか、平易な問題が多く、しかも問題数は変化なし。加えて解答時間が伸びましたから、随分取り組みやすくなったと言えます。
千葉県教育委員会の発表によると、令和3年度の入試問題の特徴は
・基礎的・基本的な事項の正確な理解度を見ることができるよう、複数の回答について全て正しい場合にのみ正解とする問題や、理由を書かせる問題を設定した。
・学習した基礎的知識を応用して答えを導く問題や思考力、判断力、表現力を総合的に見ることが出来るような問題を設定した。
上記2点を柱に、「自ら学び、思考し、表現する力」を見る問題を充実させた。
とのこと。※なお、この文言は昨年と変わっていません。
上記の「理由」を書かせる問や、自分で考えて書くタイプの筆記問題は、正答率が明らかに低くなっています。
ただ暗記するだけでなく、なぜそうなるのか、という背景までしっかり理解して学習する必要があります。
今回、ほとんどの科目で平均点が上がる中、唯一平均点が下ったのが社会でした。
「自ら学び、思考し、表現する力」を見る手段として、複数の統計資料、地形図、写真等を活用して、社会的事象を判断、分析するタイプの問題が出題されています。解答の選択肢の文章も長くなっており、読解力も必須です。
配点も高く設定されており、差がついてしまうポイントとなりました。
さて、この結果を踏まえて、今後の入試問題の傾向ですが、
入試出題の基本方針は引き続き変わらないと予想されます。
すなわち、
・基礎的・基本的な事項の正確な理解度を見ることができるよう、複数の回答について全て正しい場合にのみ正解とする問題や、理由を書かせる問題を出題される
・基礎的知識を応用して答えを導く問題や思考力、判断力、表現力を総合的に見ることが出来るような問題が出題される
ということです。
今、21世紀型能力という言葉が話題です。
『基礎力』
読み書き・計算・情報リテラシー
『思考力』
問題発見・創造力・論理的思考力
『実践力』
自立的に行動する力・コミュニケーション力
他社と協働して問題解決にあたる力
で構成される21世紀型能力。
今年度は公立の小学校中学校にもタブレット(タブレットPC)が配置され、
子どもたちはどんどん新しい学びを行っています。
将来、大きく変容する社会で生きていける力を身につける。
そのための教育改革の一環です。
今年度の生徒さんから、教科書の改定がはじまりました。昨年までの試験では出題されなかった問題も取り入れられるのは確実と言っていいでしょう。
平均点がかなり上がりましたから、来年は難易度が上がると予想されます。
コロナウィルスの状況もまだまだどうなるか分かりません。今年もこれから大きな変更があるかもしれません。
しかし、それでも私達のやることは変わりません。
どんな問題が出ても対応できる、確かな学力の養成。
自分の行きたいところに、自分の力でたどり着ける学力を身につけていただきたいです。